今週の暗号資産:2021年4月6日~12日
今週のレポート:ビットコインマイニング株が過熱、不動産大手が家賃の暗号資産払いを導入、NFTブームに乗るトム・ブレイディ。

原文掲載日:2021年4月12日
全体の動き
ビットコインは、この日の早い時間に6万1000米ドルを超え、3月13日に記録した史上最高値に迫りましたが、その後6万米ドルのラインを下回りました。その他のニュースに挙げられるのが、アメリカ・ボストンに本拠を置き、3兆米ドル超の運用資産を保有する銀行大手のステート・ストリート(State Street)が、機関投資家向けに暗号資産取引を行う計画を発表したことです。ステート・ストリートは、暗号資産を扱う大手銀行の中では後発で、すでにゴールドマン・サックスをはじめ、モルガン・スタンレー、BNYメロンなどが参入しています。
一方、ロサンゼルスを拠点とするアメリカ最大級の不動産会社のカルーソ・プロパティーズ(Caruso Properties)は、家賃のビットコイン払いを受け入れる予定です。創業者のリック・カルーソ氏は「ビットコインや暗号資産は、私たちが共有する未来にとって重要な役目を果たすと確信しています」とコメントしています。またテスラ(Tesla)やマイクロストラテジー(MicroStrategy)やスクエア(Square)などの企業と同様に、自社の資産としてもビットコインを保有しています(約1%)。
先週は、ファイルコインの急騰を取 り上げましたが、今週は冷え込み、11%下落しています。他の主要な暗号通貨の状況はどうでしょうか?米国のCoinbaseで取り扱っている主要10銘柄(時価総額)のROI(投資収益率)を見てみましょう。
NFTがセレブの間で人気の副業に
デジタルアーティストのBeepleのNFT(非代替性トークン)作品に6900万米ドルという記録的な高値が付くと、キングス・オブ・レオン(Kings of Leon)やジャック・ド ーシーといった有名人が自身のNFTを売りに出すなど、この分野に投資するセレブが増え続けています。トム・ブレイディ氏やアシュトン・カッチャー氏の話題など、NFTの最新情報を紹介します。
スーパーボウルで所属チームを過去7回優勝に導いた経験を持つ、NFLタンパベイ・バッカニアーズのクォーターバック選手、トム・ブレイディ氏が、スポーツやファッション、ポップカルチャーのコレクションアイテム向けのNFTプラットフォーム「Autograph」を発表。
アシュトン・カッチャー氏とガイ・オゼアリー氏が運営する音楽ベンチャーファンドが、マーク・キューバン氏、スヌープ・ドッグ、BeepleコレクターのMetakovanを審査員に迎え、米国人気番組「シャーク・タンク(Shark Tank)」スタイルで勝者に100万米ドルを提供するNFTコンペを企画。
米国人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」がNFTを説明するために作ったピート・デイヴィッドソン氏出演のミュージカル調クリップ映像がNFTとして売り出され、36万5000米ドルで落札。
ベースボールカード会社のトップス(Topps)が、メジャーリーグ公式NFTコレクションを発行。
このNFTの盛り上がりについて、まだよく分からなくてもご安心を。ハリス・ポール(Harris Poll)とブルームバーグが最近行った調査では、NFTを「よく知っている」または「少し知っている」と回答したアメリカ人はわずか27%。
NFTについて詳しくはこちら。
スポットライト:ビットコインマイニング株がブームに
以前取り上げたとおり、暗号資産に関心の高い機関投資家が一因となってビットコインの相場は強気に推移しています。しかし、同じ期間内に、関連する資産カテゴリーがビットコインを劇的にアウトパフォームすることが頻繁に起きていました。マラソン・パテント・グループ(Marathon Patent Group)やライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)、ハット8マイニング(Hut 8 Mining)といった北米地域の主要な暗号資産マイニング株の投資家は、前年秋にビットコインが上昇し始めて以来、1万%もの高い収益を上げています。当然、これらの企業の多くが自社の能力をさらに高めています。
今週、ライオット・ブロックチェーンが6億5100万米ドルの現金と株式で北米最大級のビットコインのホスティング施設を買収することを発表。
ハット8マイニングは、カナダで約4億米ドルの資金調達を申請。
マラソン・パテント・グループは、2022年初頭までに10万台以上のマイニングコンピューターを追加する予定。今年の現時点で196 Bitcoin(約1150万米ドル相当)をマイニング。
世界中で同様の投資が行われた結果、今月のビットコインのマイニング能力は当時過去最高を記録。ビットコインのマイニングについて詳しくはこちら。
参考記事:ビットコインは本当に「新たな金」なのか?
意見記事の中で、ブルームバーグの市場担当シニアエディターのジョン・オーサーズ氏は、投資家がインフレに備える際のヘッジ(分散投資先)として、ビットコインが金に取って代わるかについて掘り下げています。記事中のデータによると、記事中のデータによると、機関投資家は過去1年間でビットコインの保有を優先して金を売却していたことが分かります。記事では「機関投資家は、法定通貨の崩壊時のヘッジとして一部の資金をビットコインに投入する決断をしたようだ」とも述べています。インフレーションについて詳しくはこちら。