今週の暗号資産:3月9日~3月15日
ビットコインが6万ドルを突破、景気刺激策の小切手が届く、BeepleのNFTが6900万ドルで売却。今週のレポートはこれ以外にも情報が満載です。

2021年3月15日 発行
全体の動き
ビットコインは今週、史上最高値を更新しました 、初めて6万ドルの大台を突破し、3月13日時点で6万1742ドルまで上がりました。
一方、米国政府による1.9兆ドルの新型コロナ感染症景気刺激策が実行されましたが、まだ納税者に小切手が届き始めたばかりです。(ほとんどの人が1400ドルの支援金を受け取ります)この景気刺激策はビットコインの価格にどのような影響を与えるのでしょうか。
日本のみずほ証券が実施した最新の調査によると、アメリカ人の5人に2人が景気刺激策の一部をビットコインまたは株式の購入に充てる予定で、ビットコインの方が人気が高いことが明らかになりました。
週末の歴史的な高値は、2020年3月と同様に、景気刺激策の資金がビットコインへ流れると投資家が期待したことに後押しされた可能性が高いとアナリストは語っています。
それでも、価格は月曜午前中のピークから約10%下落しました。ボラティリティの原因のひとつとして、 インドでビットコインを禁止する法律が提出されるかもしれないというニュースが考えられます。(インドについては後述)
Beeple NFTが6900万ドルで落札
3月11日、デジタルアート作品の販売で新記録が樹立されました。クリスティーズ(Christie’s)のオークションでウィスコンシン州在住のアーティスト、Beepleのコラージュ作品が6,930万ドルで落札—Beepleは、ジェフ・クーンズやデビッド・ホックニーと並んで、現存する最も高価なアーティストの仲間入りを果たしました。
この作品は、 NFT(non-fungible tokenの略)— として発行されました。NFTとは、特定のデジタル資産が本物であることを証明するクリプトトークンで、美術品や録音物、仮想不動産やペットなどのデジタル資産の所有権を認証するために使用されます。
買い手は、シンガポールを拠点とする投資家(そしてNFT界の大物)であり、世界最大のNFTファンドを運営するMetakovanというペンネームを持つ人物です。 高額落札を受けたBeepleの反応は?「ディズニーワールドへ行くよ!」

ウォールストリートとその先
世界最大級の銀行であるJPモルガンは、 規制当局への提出書類を通じて、SquareやPaypal、そしてマイクロストラテジー(Microstrategy)などのエコシステムに投資する株式「バスケット」の形で、顧客が暗号資産へアクセスできるようにすることを明らかにしました。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のCOOは、ビットコインに対する顧客の需要が上昇していると述べ、eコマースの台頭と新型コロナ感染症の大流行がその加速要因だと指摘しています。「我々の考えでは、デジタル商取引、、、そしてデジタルマネー(の使用)が増えることは間違いない」と述べています。ゴールドマンのもうひとつのニュースと しては、300人の顧客を対象とした調査で、40%の顧客が暗号資産に何らかの形で関わったことがあることが明らかになりました。
国際的な資産管理会社や機関投資家(運用総額1100億ドル)を対象とした最近の調査では、77%が2021年にビットコインの価値が高まると考えていることが明らかになりました。
ラテンアメリカ最大の定量的ファンド会社 Giant Steps Capital(資産額11億ドル)は、暗号通貨先物を取引するファンドを立ち上げます。またブルームバーグ(Bloomberg)によると、この会社は「Bitcoinや同様の資産の先物を取引する機械学習戦略を開発」している、暗号通貨に特化した新興企業の株式を少数取得したとのことです。
個人投資家を侮るな
昨年のビットコインに関する主な話題は、ヘッジファンドや企業資金(テスラ(Tesla)、Square、マイクロストラテジー(Microstrategy)他)などの機関投資家 —による採用の増加にまつわるものでしたが、JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase)の最新レポートは、個人投資家がビットコイン市場の大きな原動力であることを思い出させてくれます。
実際、報告書によると、2021年の第1四半期で、機関投資家の17万3000BTCに対して、個人投資家たちは18万7000BTC以上を購入し、ウォールストリートの大手企業に勝っています。
インドが暗号資産の禁止を提案?
ロイター通信(Reuters )の報道によると、インド政府の高官が、暗号通貨を禁止する計画を明らかにしました。「もしこの禁止令が法制化されれば、インドは暗号資産の保有を違法とする最初の主要経済国とな る。マイニングや取引を禁止している中国でさえ、所持自体は罰していない」と報じています。
この話を受けて、インドの財務大臣は、「ブロックチェーン、ビットコイン、またはフィンテックの試み」を認めるという「改めた」立場を取り、「すべてを遮断するわけではない」と説明しました。
インドの中央銀行は、2018年に金融機関がビットコインやその他の暗号資産を扱うことを禁じました— しかし昨年、最高裁判所がこの命令を取り消し、インドにおける暗号資産投資の新しい波を引き起こしました。Coinbaseの元CTOであるバラジ・スリニヴァサン氏は、インドにおける暗号資産の導入を積極的に推進してきました。「インドは2018年の禁止により、1兆ドル相当の暗号資産の大半を逃してしまった」と India Todayのインタビュー で述べた同氏は、「しかし、軌道修正にはまだ間に合う」と語っています。
3月14日現在、ビットコインとイーサリアム(二大暗号資産)の合計時価総額は1200兆ドルです。