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DAO:世界とつながり直せるソーシャルネットワーク

自律分散型組織の新しい世界を探究する

Coinbase VenturesのAround the Blockでは、暗号資産の主要なトレンドに注目します。著者はジャスティン・マートコナー・デンプシーです。

インターネットがコミュニケーションにもたらしたものを、DAOは資本にもたらすことができます。

インターネットとソーシャルネットワークによって、同じ考え方を持つ個人が、地理的な場所の制約を受けずに、かつてないほど簡単にコミュニケーションを図れるようになりました。デジタルネイディブのお金と金融の出現により、同じ考え方の個人がコミュニケーションをとるだけではなく、資本を中心にまとまることもできる新しいタイプのソーシャルネットワークを実現しました。従来のネットワークと同じように、これらの新しいネットワークにも地理的な境界による制約がなく、大規模にも、選ばれた少数の参加者間でも形成できます。

自律分散型組織は、人間がどのように組織を形成するのかを革新し、最終的には、世界最大級の企業や国家の規模や範囲までもしのぐようになると、とりわけ楽観的な考え方の持ち主は信じています。

今回のAround The Blockでは、現在のDAOの状況とその将来にまつわる大きな疑問について探ります。

DAOとは何ですか?

簡単に言えば、DAOはソフトウェアによって成り立っている組織です。DAOによって、人々は共通の目標に向かってリソースを集め、目標が達成されると価値創造を分配することができます。

LLC(有限責任会社)が産業革命で好まれた組織化のプリミティブだったように、DAOはWeb3にとってのLLCのようなものになるでしょう。企業がレガシー金融システムに根差し、法的契約を通じて組織化されているのに対して、DAOはイーサリアムのようにオープンブロックチェーンネットワーク上で動作し、スマートコントラクトに暗号化されたルールを持つトークンで組織化されています。

DAOは物理的な場所に縛られていないので、世界中から人材を迅速に集め、惹きつけることができます。最近、ConstitutionDAOが、落札には失敗したものの、米国憲法の初版の1冊を購入するために、1週間たらずで17,000人の資金提供者から4,000万ドル以上を調達したことで、DAOの概念は明白になりました。

しかし、DAOが実現するのは、歴史的な文書を集団で落札するためにインターネット上で仲間を集めることだけではありません。あらゆる経済活動の方法をどのように組織化するかを変革できるのです

DAOの役割は何ですか?

すでに180以上のDAOが存在しており(deepdao.ioの追跡による)、100億ドル以上の運用資産があり、ほぼ200万人のメンバーがいます。最大級の暗号資産プロトコルの管理をサポートするDAOから、投資、ソーシャルコミュニティ、メディア、慈善活動を目的として組織化された小規模のDAOに至るまで、さまざまなDAOが存在します。

プロトコルDAO

イーサリアムによって、新しい暗号資産が爆発的に増えました。そこから、開発者は(ユニスワップやコンパウンド、アーベのような)新しい資産の取引や貸付が可能なプロトコルを作りました。しかし、それらのプロトコルは分散化を目的としたものだったので、成長と進化を統制する方法を考える必要がありました。

開発者の小さなチームに重要な決定を毎回委ねるのではなく、プロトコルDAOはプロトコルのユーザーに、将来の方向性についての集団としての発言権を与える方法として生まれました。一般的に、ユーザーにはガバナンストークンが発行されます。トークンの発行は過去の使用や貢献に直接基づく場合が多く、投票権が与えられます。どのユーザーもプロジェクトを改善する方法を提案でき、トークン保有者は開発者たちがその提案を進めるべきかどうかについて投票できるのです。トークンの数が多いほど、投票権も大きくなります。

例えば、ユニスワップトークンの保有者は、分散型取引所をどのレイヤー2ネットワークに展開すべきかについて現在投票しています。また、トークンの保有者は、マーケティングの構想から、ユニスワップの20億ドル以上の財務資金をどのように管理するかまで、あらゆることを提案し、投票します。

ガバナンストークンは、プロトコルの将来の成功をめぐってコミュニティを調整するもので、プロトコルの成長に応じて価値が上がり、失敗すれば価値が下落するはずです。

12月7日現在(現地時間)、運用資産による最大のプロトコルは、ユニスワップ、リド、ラディクル、コンパウンド、オリンパス、およびアーベです。

投資およびコレクターDAO

2番目に大きなカテゴリーは、投資およびコレクターDAOです。これは、特定の資本への投資を目的として、資本を共同出資できるようにするものです。DeFiプロトコルやNFTなどへのベンチャー投資から、希少な歴史的文書プロスポーツのフランチャイズの購入などのより意欲的な活動まで、その目的は多岐にわたります。

従来のベンチャーキャピタルファンドに関連する高コストと複雑な法的設定と比較して、これらのDAOは、その他の形態の暗号資産クラウドファンディングと同じように、迅速でシンプルな資本形成の手段を提供します。メンバーがすべてのトランザクションをチェーン上で監査できるので、これらのファンドは、従来のベンチャーファンドより透明性も高くなります。

PleasrDAO MetaCartel Ventures、 Flamingo、 Komerabiはどれも、DAOが資金を共同出資し、集団で投資を判断し、それらの投資の価格が上昇したときには利益を共有するという素晴らしい例です。同様に、 Syndicate*は誰でも簡単に独自の投資DAOを立ち上げられる一連のツールを構築するプロジェクトです。

ソーシャルDAO

ソーシャルDAOはオンラインコミュニティに同じ考えを持つ人々を集めることを目的にしており、トークンを中心に組織化されています。代表的な例は、Friends With Benefitsとその$FWBトークンです。メンバーになるには、申込書を提出し、75FWBトークンを取得しなければなりません。入会すると、著名な暗号資産ビルダー、アーティスト、クリエーターが集まるコミュニティや限定イベントに参加できます。

トークンを中心に組織化することにより、メンバーは、知見を共有したり、ミートアップを主催したり、すばらしいパーティーを開いたりするなど、価値のあるコミュニティを作る動機を得ることができます。例えば、FWBコミュニティに参加する利点を理解する人が増えると、同時にトークンの価格も上がります。$FWBの価格は10ドルか75ドルになり、会費は750ドル前後から6,000ドル前後になりました。

その他のソーシャルDAOは、幅広いコミュニティにアクセスできるようにするメカニズムとしてNFTを使っています。例えば、Bored Ape NFTを所有すると、Bored Ape Yacht Clubのdiscordやイベント、エアドロップ、マーチャンダイズへアクセスできるようになります。この場合、コミュニティの認識価値がNFTコレクションの価値を生みます。

このDAOのカテゴリーは、まだ初期段階にあり、どのモデルが機能し、どのモデルが機能しないのかがわかるのには時間がかかるでしょう。しかし、これらのコミュニティの急速な増加は、それらが新しい強力な形態の社会組織であることを示しています。

サービスDAO

サービスDAOは、製品やサービスを構築するために世界中から見知らぬ人々を集めるオンライン人材会社のようなものです。見込み客は、特定のタスクに対して報酬を提供し、そのタスクが完了すれば、DAOの財務に手数料の一部を支払ってから、個別の貢献者に報酬を付与できます。貢献者は、一般的にDAOの所有権を示すガバナンストークンも受け取ります。

DxDAORaid Guildのような初期のサービスDAOの多くは、暗号資産エコシステムを強化するための人材を集めることに重点を置いています。それらの顧客は、ソフトウェア開発からグラフィックデザイン、マーケティングに至るまで、あらゆるものを必要とするその他の暗号資産のプロジェクトやプロトコルで構成されています。

サービスDAOは、人々の働き方を革新し、世界中の人材プールが自分の時間で働き、関心があるネットワークの所有権が得られます。初期のサービスDAOは暗号資産に重点を置いていますが、将来的には、Uberが、運転手と乗客をペアにして、運転手にネットワークの所有権を払うというUberDAOに代わると想像することができます(DAOが純粋なデジタル領域を越えて統合するには、まだ時間がかかるでしょう)。

メディアDAO

メディアDAOは、コンテンツ制作者と消費者の両方がメディアとどのように関わるかを革新することを目的としています。広告ベースの収益モデルに依存するのではなく、これらのDAOは製作者と消費者に費やした時間分だけ特定のメディアアウトレットの所有権を与えるために、トークンインセンティブを使います。

分散型メディアのアイデアは、2013年の「Let’s Talk Bitcoin」ポッドキャストにさかのぼりますが、2021年の代表的な例はBanklessDAOです。Banklessは、人気のポッドキャストとニュースレターを制作する、イーサリアムに特化したメディアアウトレットです。最近、BanklessはオーディエンスにBANKトークンをエアドロップしました。BANKを取得した読者は、メディアアウトレットで積極的な役割を果たし、コンテンツの制作、調査、グラフィックデザイン、記事の翻訳、マーケティングサービスによって、さらにBANKを獲得できます。また、DAOを指揮する重要な決定に投票することもできます。

現在の広告ベースのメディアモデルが崩壊したと多くの人が認める今、メディアDAOは読者と制作者の間の利害関係を再構築するための魅力的な代替手段を提示しています。

助成およびフィランソロピーDAO

助成およびフィランソロピーDAOは、投資DAOと似ており、資本をプールし、さまざまな取り組みに展開します。金銭的な見返りを期待せずに資金を分配するところが、投資DAOとの唯一の違いです。

Gitcoinはこのモデルの先駆者で、他の方法では資金を調達するのが難しい重要なオープンソースインフラストラクチャに対する助成金を支援しています。同様に、ユニスワップやコンパウンド、アーベのような大規模プロトコルには特定の助成DAOがあります。これにより、コミュニティは、プロトコルを発展させるために、ビルダーや開発者に支払うために財源をどのように分配するかを投票できます。

フィランソロピーDAOも、慈善事業に対する寄付のあり方を再構築するために出現し始めています。例えば、Dream DAOは、資金を調達するためにNFTを発行してから、DAOのミッション(Z世代の市民リーダーへの資金提供)にその資金をどのように分配するかをNFTの保有者に投票させました。

このますます多様化が進む状況で、DAOはWeb3の組織のプリミティブになり、どのように管理、投資、仕事、想像、寄付するかを再構築するでしょう。将来的にDAOのカテゴリーや数、質が劇的に進化することを期待しています。

しかし、まだまだ時間が必要です。DAOは、長い年月をかけて、民主主義やコーポレートガバナンスから学んできた教訓をリバースエンジニアリングするのが基本的な役割だと考えてください。その難しい問題の大きさは明白であり、現在、4つの重要な欠陥があることがわかっています。

  • 法的および規制的な明確さの欠如

  • 効率的な調整メカニズムの欠如

  • インフラストラクチャの欠如

  • スマートコントラクト、断片化、持続可能性のリスク

法的および規制的な明確さの欠如

企業は常に特定の場所に根差しており、そこに存在する権利はまず君主から与えられ、やがて都市や国家から与えられるようになりました。管轄内の企業が遵守すべき規制を設定しているのも、常に同じ自治体です。DAOはどこか1つの場所に存在するわけではなく、企業のように運営されているわけでもないので、既存の規制の枠組みにはうまく適合しません。

新しい企業の設立に関係する規制ではメンバーを特定の負債から保護することが明確に定められている一方で、DAOはあらゆる難しい規制や法的な問題に取り組む必要があります。DAOトークンや財務資金の運用や使用は、税務上どのように扱われるのでしょうか?DAOメンバーに支払われた収入はどのように申告するべきでしょうか?

米国では、DAOは現在、特定の地域でLLCを設立するか、ジェネラルパートナーシップとして取り扱われるかという苦しい交渉に直面しています。前者では、標準的なLLCの基本定款(および既存のLLC法の制約に縛られること)を選び、スマートコントラクトに暗号化された規則によって管理するというDAOの機能を損ないます。後者では、メンバーが潜在的にパートナーシップを通じた負債にさらされることになります。これは、本来であれば「有限責任会社(LLC)」によって保護されるはずです。

このすべての不確実性により、DAOと非暗号資産もしくは非Web3の組織がやり取りするのは難しく、重大な弊害になっているのです。ワイオミング州では、DAOが従来のLLCと同じ法的根拠に基づいて運営することを許可すると同時に、独自のスマートコントラクトで管理されることを認める法案を推進しています。しかし、米証券取引委員会(SEC)の抵抗を受けています。一方で、a16zOpenLawは、DAOを統制するための明確な枠組みを提案していますが、DAOは、当面、グレーゾーンで運営を続けなくてはなりません。

この不確実性のすべてが、短期的には、DAOの成長が純粋にデジタル領域に集中するだろうという考えを際立たせています。DAOが物理的な領域(例えば、UberDAO)に移ろうとすると、法的な複雑さが増します。

効率的な調整メカニズムの欠如

企業や政府がすべての従業員や市民にすべての意思決定に参加させないのには理由があります。それは、物事を成し遂げるのにとても非効率的で、誰もがその資質を備えているわけではないからです。

企業階層が存在するのは、困難な決定をするには有能な人材が必要な場合が多いからです。現在、多くのDAOは、1トークンに対して1票というやや大ざっぱなガバナンス構造のもとに存在しています。何千人ものトークン保有者がいる大規模なDAOでは、この構造により、投票権が専門性よりも購買力と相関関係を持ち、無秩序な意思決定プロセスにつながる場合があります。同様に、任命はされていないが著名なメンバーが意思決定に過大な影響力を持つ場合もあります。

DAOが本当に効果的なものになるためには、トークンの保有者が資格のあるリーダーに投票して、透明性のある方法で重要な決定をする委任権モデルへの移行する( Orca Protocol* が模索しています)というような、ガバナンス構造の進歩を模索する必要があるということで、大方の意見が一致しています。短期的には、DAOのガバナンスは、異なるモデルを試し、最終的に機能するものを見つけるまでは、混乱や混沌した状態が続くでしょう(君主制から民主主義への長い実験的な道のりと似ています)。

インフラストラクチャの未整備

企業は、明確な法的枠組と効率的な意思決定プロセスを享受しているのと同様に、運営のための高度に発達したインフラストラクチャの恩恵も受けています。一方でDAOは、同じようなインフラストラクチャをゼロから構築する使命があります。

現代の企業が自由に使えるガバナンス、給与、レポート、財務管理、コミュニケーションなど、すべてのリソースにおけるDAOツールはまだ生まれようとしているところです。ありがたいことに、DAOツール領域は奥が深く、何百ものチームがさまざまなアプローチでこれらの欠点の解消に取り組んでいます。

数多くの優れたチームがあるので、名前を挙げることはできません。しかし、ガバナンスツールでは、単一のインターフェイスでガバナンスの監視と参加ができる Messari*の新しいアグリゲーター にワクワクしています。

スマートコントラクト、断片化、持続可能性のリスク

「The DAO」を抜きにしてDAOについての議論はできません。これは、イーサリアム史上初のDAOで、2015年にベンチャー投資を中心に設計され、40%の財務資金がハッキングされ、6,000万ドルが流出してしまいました。最近のBadgerDAOが1.3億ドルをだまし取られたことでわかるように、DAOの資金はスマートコントラクトのリスクに対して脆弱なままです。

同様に、最大規模の暗号資産ネットワークには、コミュニティの分裂によって引き起こされた断片化の歴史があります。ビットコインとビットコインキャッシュの分裂の原因は、ブロックサイズをめぐる技術的な争いでした。イーサリアムとイーサリアムクラシックの分裂の原因は、前述の「The DAO」のハッキングへの対応方法をめぐる食い違いでした。最大規模のDAOも同じような困難に直面すると考えるのが妥当でしょう。

その一方で、もう一度、暗号資産の冬がきた場合、DAOはどのくらい持続可能なのでしょうか?トークンの価格が下落し続け、資金が圧迫され、参加者もメンバーも減少していく中で、人々はDAOに興味を持ち続けられるでしょうか?

DAOで世界をつなぎなおす

障害は多くありますが、DAOは経済的組織のパラダイムシフトを意味します。Web3がユーザーによって集合的に所有されるインターネットになるとすれば、DAOは所有権が計測される組織のプリミティブになるでしょう。

2021年は、新しいDAOの実験やモデルのルネサンスでした。一方で、DAOが真の可能性に達するために必要なツールを構築しているプロジェクトや企業の状況は、業界内でも最大級に恵まれています。(Coinbase Venturesは、DAO領域に積極的に投資しており、多くの案件が進行中です。DAO領域の普及を推進するプロジェクトがあれば、ご連絡ください。)

このような傾向が続けば、最大規模の組織、ベンチャー企業、メディアアウトレット、機関が、法的契約上ではなく、オープン暗号ネットワーク上に設立される日が来るかもしれません。暗号資産のUXが向上すれば、ますますデジタル化が進む世界で、DAOがLLCをしのぐ組織形態になる可能性は低くありません。

追伸、近いうちに、CoinbaseからDAOに特化した製品とサービスが登場することを楽しみにしていてください。


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