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Coinbase Venturesの非代替性トークン(NFT)ガイド

Coinbase VenturesのAround the Blockでは、暗号資産の主要なトレンドに注目。今回は、ジュスティン・マート(Justin Mart)、コナー・デンプシー(Connor Dempsey)、エジャーズ・アハマディーン(Ejaaz Ahamadeen)の3人が、NFT市場の成長の背景について解説します。

2020年のNFT取引額は2億米ドルあまりでしたが、今年(2021年)2月時点での売り上げ高は3億4,000万米ドルと、前年全体の数字を上回りました。さらに8月はあらゆる記録を更新し、主要なマーケットプレイスでのNFT総取引額は40億米ドルを超えましたイーサリアム以外のプラットフォームを考慮すると、二次流通だけでも第3四半期の売り上げ高が100億米ドルを超えるとも予測されています。

簡単に言えば、NFT市場の急激な成長は、ここ数年における暗号資産の状況が大きな転換点を迎えていることを示しています。

現在、ほとんどの人が非代替性トークン(NFT)のことをよく知っています。多種多様な形態を持つユニークなデジタル資産で、インターネットのマーケットプレイスで取引でき、その分野は、アート、ゲーム、スポーツメモラビリア(有名スポーツ選手の各種記念グッズ)、音楽など多岐にわたります。

今回の「Around The Block」では、NFT分野の成長を促進していると思われる要因や、このテクノロジーにどんな未来が待っているのかといったことに関する概要を幅広く紹介します。

NFTアート

NFTの領域はアートの世界よりはるかに大きいですが、アートもNFT市場カテゴリーとして定義され、上のグラフでもかなりの数字を占めています。クリプトアートの市場は、多くの点で伝統的なアートの市場に類似しています。需要側から見ると、大小様々な規模のコレクターが存在しています。供給側から見ると、作品を数百万米ドル単位で販売するビープル(Beeple)などの著名アーティストだけでなく、作品(下の絵画)を100米ドルから1万米ドルの価格帯で様々な場所から販売するMetsa(マックスウェル・プレンダガースト/Maxwell Prendergast)などの新進気鋭のアーティストたちも数千人規模で存在しています。

Radiant Depths : Maxwell Prendergast @madebymetsa

マックスウェルのようなアーティストが何千人もNFTアートに引き寄せられています。なぜなら、従来の市場に比べ、クリエイターにとってより公平だということが証明されているからです。インターネットやソーシャルメディアの恩恵により、デジタルアーティストたちは、わずか数クリックで自身の作品を数百万の人に届けられます。しかも現在はNFTに基づいたスマートコントラクトのおかげで、自身の作品が転売されるたびにアーティストが自動的に報酬を得られるようになっています。従来のアート市場は、アーティストが生前から評価されることがあまりなく、裕福なコレクターが二次販売を通じて入手してから大きく価値が上がることがよくあります。しかしそれとは対照的にデジタルアート市場がクリエイターにとって魅力的なのは明らかです。

とはいえ、デジタルには無限に複製できる性質があるにもかかわらず、デジタルアート作品を所有するためにお金を払う理由は何でしょうか?事実、上に紹介したマックスウェルの作品は、単にファイルからカットアンドペーストを行っただけで作者に何も支払っていません。その答えは実際の所有権にあります。NFTアートを購入する際、代金はデジタル画像に対して支払うわけではありません。その画像の所有権を示す社会的に認められた記録がイーサリアムのようなブロックチェーン上に登録されていて、それに対して支払います。そのため、この記事にあるマックスウェルの作品をペーストしても、その作品に紐付けされたNFTを所有していることにはなりませんので、売るものは何もありません。

物理的な作品を所有することに価値を置く人がいるように、多くの人がデジタル的に希少な作品を所有することに価値を置いていることになります。デジタル資産の所有権に対してデジタル専門の法的保護はありませんが、プログラムで認証できるので、その所有者だけが特定の目的に画像を利用できるよう(例:Twitterのプロフィール)、プラットフォームを通じてルールを強化することは可能です。このようなプログラムによる所有権の認証を基本に有効活用し、NFTの背景にある価値を担保することが重要になります。

ジェネレーティブアート(ジェネラティブアート)

NFTアートの人気が上昇している大きな要因となっているのが、ジェネレーティブアートとして知られている分野です。その需要は主に暗号資産の扱いに慣れたクリプトネイティブな投資家から生まれました。ジェネレーティブアートは、自律的なシステムを利用して生み出されたアートと定義されています。ジェネレーティブアートの代表例はCryptoPunksで、最初の重要なNFTアートコレクションと言えます。

CryptoPunksのコレクションは、1万点にのぼるそれぞれ異なるキャラクターで構成されています。そのキャラクターは、Larva Labsというスタジオが作成したコンピューターコードを通じてアルゴリズム的に生成されたものです。髪型や帽子など、様々な特徴を持ったピクセル状のキャラクターをランダムに生成するようにプログラムを作成しました。そのプログラムからは、88体のゾンビ、24体のエイプ(類人猿)、9体のエイリアン(宇宙人)の3つの特別な形態のキャラクターをも生成しました。このアルゴリズムを実行してランダムに生成された多種多様なキャラクターは、イーサリアムのスマートコントラクトとリンクしており、その希少性に基づいて一部が取引され、高値がつくようになりました。個性的なマスクとビーニーを着けた9体のエイリアンパンクのうちの1体は、「Covid Alien」と名付けられ、最近のオークションで1,175万米ドルの値がつきました。

ジェネレーティブアートの人気プラットフォームのひとつにArt Blocksがあります。ArtBlocksでは、個々の作品を制作・販売するのではなく、アーティスト側はアルゴリズムを作成して作品を制作し、コレクター側は限られた数の作品に対して「Mint」(ミント、NFTの作成・発行)できます。購入者もアーティストも、ミントされるまでアルゴリズムが何を生み出すか分からないという、アートの制作と流通における斬新なプロセスです。

現在、ArtBlocksで特に高値がつけられている作品の中に、アーティストのTyler Hobbsが手がけた「Fidenza」という題名のコレクションがあります。Hobbsは、「フローフィールドアルゴリズム」を使用して、予測不可能な曲線を重なり合わないように配置し、ランダムに色づけした作品を制作しています。この技法で制作されたデジタルアート作品は350万米ドル相当の価格で販売されています。まるでMoMA(ニューヨーク近代美術館)に展示されていそうな作品です。

クリプト文化とNFTアート 

とはいえ、ピクセル状のキャラクターや、重ならないように配置されたカラフルな波線が、数百万米ドルで販売されている一方で、同じような他のNFTアート作品の販売価格が著しく低いのはなぜでしょうか?その答えは、暗号資産市場やNFT市場で発展してきた独自の文化と結びついています。

たとえば、CryptoPunks(クリプトパンクス)やFidenzas(フィデンツァ)は、それぞれ暗号資産コミュニティーにとって歴史的な意味を持っています。CryptoPunksは、NFT市場全体の基盤となっているERC-721トークン規格の策定に貢献したことで高い評価を受けています。Fidenzasは、初めて成功しただけでなく、視覚的にも魅力的なオンチェーンジェネレーティブNFTのコレクションでした。

そのような文化的な意義を考えると、このような作品の提示価格は暗号資産の投資家にとっては妥当で、過去10年間で非常にパフォーマンスの高い資産クラスの一つともいえるでしょう。昔ながらのコレクターがピカソやレンブラントを所有するのと同じように、暗号資産の扱いに慣れているクリプトネイティブなユーザーの間で成長中のサブカルチャーとして、希少性のあるNFTがステータスシンボルとしての役割を果たしています。ただし、飾るのは家の中ではなく、オンラインコミュニティーや、TwitterやDiscordなどのソーシャルメディアのプラットフォーム上で目立つように飾られています。

DC Investor: 暗号資産およびNFT投資家

暗号資産文化がメインストリームになるにつれて暗号アートも同様に注目を集め、現在では、Jay-ZやOdell Beckham Jr.などの著名人がCryptoPunksをソーシャルメディア上で目立つように展示しています。最近では、Snoop Dogg(スヌープドッ)もかつて@CozomoMediciという名の匿名NFTコレクターで、1,700万米ドルのNFTアートコレクションを所有していると表明しました。

まとめると、イーサリアムなどのブロックチェーン上のトークンによって記録し、所有権を証明できるようになったことにより、NFTアートが台頭できるようになりました。NFTアートは世界中のアーティストを魅了し、売買可能なアート作品の爆発的な増加につながりました。暗号資産コミュニティーの中で文化的に重要な意味を持つ作品は高値で取引される傾向にありますが、様々なインフルエンサーの影響によって、暗号資産文化とメインストリーム文化の融合がすでに見られるようになっています。

NFTゲーム

その一方、NFTアート市場の成長を尻目に、NFT分野で非常に高い収益を上げているコレクションは、全く異なるカテゴリーである「ゲーム」です。NFTによって唯一無二のデジタルアート作品を所有できるように、ゲーマーがゲーム内のアイテムを本当の意味で所有できるようになります。つまりプレイヤーがゲーム内で現実の経済的な利害関係を持つということです。

一般的なゲームアイテムを購入した場合、実際に得られるのはそのアイテムを使用した経験だけです。一方、NFTでもあるゲーム内アイテムを購入すると、転売価値のある資産を手に入れたことになり、他のゲームや体験に利用できます。勝利したときに暗号資産を受け取れる仕組みを加えた、「Play-to-Earn(ゲームして稼ぐ)」という全く新しいゲームモデルです。

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)と、その180万人のユーザーは、現在NFTゲーム界で高い収益を上げています。Axie Infinityでは、ゲームをするために必要なポケモンのようなキャラクターそのものがNFTになっています。プレイヤーは対戦に勝利すると暗号資産を受け取れるので、新興国市場ではゲームをフルタイムの仕事にする人が多くなっています。Axie NFTの初期からのコレクターであれば、当初5米ドルで売られていたキャラクターが8月には500米ドル近くの値がついているのを目にしています。このようなゲーム内NFTの総売り上げ高は最近20億ドルを突破し、かつてないほど売れているNFTコレクションとなっています。

Dapp Radarより

しかし、NFTベースのゲームの真価は、所有権とコンポーザビリティー(構成可能性)の組み合わせにあります。コンポーザビリティーは、あるプロトコルが他のプロトコルとどの程度ネイティブに相互運用可能であるかを示す、暗号資産の重要な概念です。具体的な例を挙げると、MakerDAOで生成されたトークンがユニスワップ(Uniswap)のような分散型取引所で取引できるということです。この概念をゲームに応用すると、あるゲームで作られたゲーム内アイテムを、他の開発者・開発会社が作ったゲームで使用できます。つまり、Axieのキャラクターを他のゲームに持ち込めるということです。

DecentralandSandboxSomnium SpaceCryptoVoxelsTCG Worldなどのプロジェクトでは、様々なゲーム体験が融合した仮想世界を作り出しています。このような仮想世界には、誰でも購入できるNFTの「プロット」(題材)を備えていて、さらにゲームの開発も可能です。コンポーザビリティーのおかげで、たとえば誰かがDecentralandでアリーナを作って、Axie NFTと、Lootを装備させたキャラクターとの対戦が可能になるかもしれません。

DeFiとNFTの巡りあい 

コンポーザビリティーのおかげで、NFTは、既存の暗号資産インフラとの相互運用がすでに可能になっています。これによりNFTと既存のDeFiプリミティブを融合させ、この分野に大きな実用性と流動性をもたらすことが可能です。

富裕層のコレクターがローンの返済に美術品を担保にすることがよくあるように、NFTアートやゲーム資産でも同じことが可能になりつつあります。その一例がNFTfiプロジェクトで、ユーザーは自身のNFTをローンの担保に入れたり、他人にローンを提供してNFTの使用権を担保に取ったりすることが可能です。これは、NFTコレクターが小額の手数料を支払うことで、NFTを一時的に流動性のある資本に変え、イールドファーミングに利用できるようにするというものです。一方、誰かが資金を投じてAxie NFTを借り、ゲームの中でイールド(利益)を獲得するために使うこともできます。

NFTを担保にしたローンは、NFTとDeFiを組み合わせることで可能になることの一例です。NFTの成熟に伴い、この分野は急速に拡大すると期待されています。

暗号資産のソーシャルレイヤー 

NFTは、アートやゲームだけでなく、新しい種類のオンラインコミュニティーの形成や、暗号資産を利用した消費者向けアプリケーションも可能にしています。たとえば、ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Ape Yacht Club)では、1万体の体のボアード・エイプキャラクターのうち1体を所有すると、ディスコード(Discord)チャンネルへの参加権をはじめ、新しいNFTのエアドロップや商品の入手権など、限定コミュニティーの利用が可能です。つまり、ボアード・エイプを購入すると、NBAのオールスター、ステフィン・カリーをも魅了した特別なクラブへのアクセスが可能になります。ボアード・エイプはこのモデルの先駆けですが、現在では多くのNFTプロジェクトで採用されています。

また、特に音楽の世界では、NFTがエンターテイナーとファンの間に新たな関係を生み出すことが期待されています。たとえば、カタログ(Catalog)では、アーティストが独自のトラックをWav NFTの形態でファンに直接販売することが可能です。これにより、ファンは自分の好きなアーティストの音楽を直接購入して応援できます。たとえば、テイラー・スウィフトは世界的に有名ですが、彼女が有名になる前に限定版の曲を購入することを想像してみるといいでしょう。

AbJo「All This」(1/3)

また、NFTを通じて独占的に体験できる権利を与え、ファンとクリエイターの間により深い関係を築くことが可能になります。過去の事例を挙げると、ディスクロージャー(Disclosure)のファンがザ・ディスクロージャー・フェイス(The Disclosure Face)を購入すると、世界各地で開催されるショーのチケットを自動的に4枚受け取れ、さらに購入した人はアーティストとお近づきになれるという企画がありました。現在、ディスクロージャーは定期的にこのイベントを開催しています。

音楽と同じように、スポーツの世界もNFTと融合しています。NBAのトップショット(TopShots)はNBAでの決定的瞬間(たとえばレブロン・ジェームズのダンクシュート)をデジタルトレーディングカードにしたもので、NFTコレクションの中ですでにトップの売り上げです。トップショットの運営会社は、つい最近NFLに進出する計画を発表しました。また6億8,000万米ドルという巨額のシリーズBの資金調達をしたばかりのソラレ(Sorare)も、同様に国際的なサッカークラブと提携して選手を使ったNFTを発行しています。このようなNFTは、選手が活躍するとユーザーが報酬を得られる「ファンタジースポーツ」競技の基礎となります。

ソーシャルトークン

ソーシャルトークンは代替性を有したNFTの親類と見なせます。Bored Apesをはじめ、特定のミュージシャンがミント(作成・発行)したNFTを通じ、特定のコミュニティーを利用したり、様々な体験をしたりできるのと同様に、ソーシャルトークンも似たような仕組みによって同じことができます。

ソーシャルトークンは、自分のブランドを中心としたソーシャルコミュニティーの形成を目指すクリエイターやインフルエンサーに注目されています。最近の興味深い事例としては、UCLAバスケットボール選手のジェイレン・クラークがRallyプラットフォームを利用して$JROCKトークンを発行していることが挙げられます。このトークンを持っている人は、バスケットボールの試合のチケットや、ジェイレンから独自のコンテンツを手に入れられます。

ソーシャルトークンは普及曲線の初期段階にありますが、NFTと並んで暗号資産分野のソーシャルレイヤーの根幹を形成するのに役立っています。

すべての道はWeb3に通ず 

現在、暗号資産は、いくつかの斬新なイノベーションを世界にもたらしています。まずビットコインやデジタルキャッシュ、次にイーサリアムやスマートコントラクト、資本形成の革命、そして最近ではDeFiと金融システムの再構築が挙げられます。現在、NFTをはじめ、一部の人たちの間ではデジタル所有権やソーシャルのあり方に革命が起きようとしていると信じられています。これらの技術をすべて組み合わせることで、ユーザーが所有するインターネット、つまりWeb3の基盤ができあがります。

NFTの価値が最近急速に上昇していることを考えると、この市場はこれまでの暗号資産のイノベーションと同じように、変動のサイクルを経験する可能性があります。いずれにしても、デジタルの世界と物理的な世界の境界が曖昧になっていく中で、素晴らしいものからでたらめなものまで、新たな実験が「カンブリア爆発」のように続いていくことでしょう。

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