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Around the Block 第15号:CryptoPunks、NFTブーム、 EIP-1559

Around the Blockは暗号資産業界における重要な話題を取り上げます。今回は、ジャスティン・マート(Justin Mart)とコナー・デンプシー(Connor Dempsey)が、最新のNFTブームと、イーサリアムのEIP-1559へのアップグレードについて注目します。

CryptoPunksと最新のNFT ブーム

ヴェブレン財とは、需要の法則と明らかに矛盾するような、価格が上昇するにつれて需要が増加する贅沢品の一種です。ロレックスの腕時計、ダイヤモンド、ヨット、ビットコイン、そして今でいえば、Twitterのフィードで見かける不思議なドット絵のキャラクターたちです。

OG  NFT

2017年、ラルバラボ(Larva Labs)は、サイファーパンクにインスパイアされた1万ものユニークなキャラクター(一部レアキャラも含む)をランダムに生成できるソフトウェアプログラムを開発しました。これに満足したラルバラボが、そのプログラミング言語をイーサリアムスマートコントラクトに関連づけたことにより、1万のキャラクターはイーサリアム上で売買できるユニークな非代替資産となりました。このことが結局のところ、今では広く受け入れられているERC-721規格への道をひらき、今日のNFTマーケットプレイスの活況の基盤となったのです。

CryptoPunks(クリプトパンクス)は、2017年のリリース時にはほとんど話題にならなかったものの、やがてイーサリアムコミュニティー内で勢いを増し、1つ数千米ドルで売られるようになりました。2021年4月になると、「オリジナルのイーサリアム NFT」だという理由で、平均的なCryptoPunkが3万米ドル以上で販売され、6月には、非常にレアな「エイリアンパンク(Alien Punk)」が1175万米ドルという記録的な値段で落札されました。

6月に記録的な販売があったにもかかわらず、NFT市場は全体的な市場の調整によりやや冷え込んでいました。風向きが変わったのは7月末のことです。大量購入が相次ぎ、市場を熱狂させました。

熱狂の日々

起業家のゲイリー・ベイナチャック(Gary Vaynerchuk)が、わずか24種類のエイプCryptoPunksのうち1つ、変わったオレンジ色のビーニー帽をかぶった猿タイプのCryptoPunkを370万米ドルで購入したのが始まりでした。その直後、希少な別のエイプCryptoPunkが550万米ドルで販売されます。

希少性が高いPunksが動き始めると、低価格のPunksを一気に買い占める人が出てきました。これを実現したのがフラッシュボットです。マイナーに5ETHを支払えば、買い手は1ブロックにつき100個のCryptoPunksをすべて購入することができました。これは、Punksがどんどんと購入されていくのを見た人がプロセスを先回りする、フロントランニング攻撃を防ぐためです(MEV、すなわちマイナー抽出可能価値に該当します)。

7月30日(金)(現地時間)に購入熱が最高に高まったとき、CryptoPunksの7日間の売上高は、前日の1200万米ドルから4600万米ドル近くまで上昇しました。さらに次の金曜日には、1億9000万米ドルを超えました。

この人気は、Autoglyphs、Artblocks、BoredApesなど、ほかのNFT「ブルーチップス」プロジェクトにも広がりました。8月6日(金)(現地時間)までに、すべてのNFTの7日間の売り上げは3億7500万米ドルを記録。これは5月にラルバラボがミービッツ(Meebits)を発売し、8000万米ドルの売上を記録したときの最高値を上回るものです。

その後、USDの取引量は再び減少しましたが、NFTの販売記録を塗り替えるまでには至りませんでした。

ここで起きていることとは?

2013年のビットコインと今日のNFTマーケットを比較しないわけにはいきません。

2013年、ビットコインは13米ドルでスタートすると、価値を見出したアーリーアダプターが殺到し、1156米ドルのピークを迎えました。当時、主流派の多くが、なぜ純粋なデジタル資産を所有するために誰が何かを支払うのか(「ビットコインには固有の価値がない」という議論)という疑問を投げかける一方、それ以外の人たちは何十と言う模倣プロジェクトを立ち上げて、ビットコインの成功を再現しようとしました。

NFTとCryptoPunksの台頭は、2013年ごろのビットコインと似たような普及、懐疑、模倣に直面しています。アーリーアダプターが価格をどんどん上げていく一方で、主流派は「なぜ何もしないJPEGにお金を払うのか」と疑問を抱いています。同時に、CryptoPunksの成功を再現しようと、何十もの「NFTアバター」プロジェクトが立ち上げられている状況です。

では、なぜ人々はただのピクセルに大金を払うのでしょうか。実際にピクセルを買うわけではありません。(イーサリアムのトークンを使って)所有権の記録を購入しているのです。CryptoPunkオーナークラブのメンバーシップをコード化したものといえます。このメンバーシップには、社会的効果もあります。多くのPunkオーナーは、TwitterやDiscord(ディスコード)のアバターを自分のCryptoPunksに設定してステータスとしています。中には、NFTを購入することで匿名のTwitterアカウントを立ち上げ、フォロワーを獲得している人もいます。将来的には、Punkを所有することで、特定の人々やイベント、さらにはほかのNFT資産へのアクセスもできるようになるかもしれません。

CryptoPunksやそのほかのNFTが興味深いやり方で私たちの社会構造に統合され、その社会的有用性が今日の入場料に相当するものになる可能性は十分にあります。とはいえ、JPGと連動したNFTが住宅の頭金と同じような金額で売られているのは確かに不思議です。結論を出すには時期尚早ですが、何かおもしろいことが起きていることは明らかです。

イーサリアムのアップグレード: EIP-1559の概要

8月5日(木)(現地時間)、イーサリアムのロンドン(London)ハードフォークと話題の「EIP-1559」が始動しました。

EIP-1559はハードフォークに含まれる5つの改善提案の1つでしたが、イーサの価値に影響を与える可能性があるため、大きな注目を集めることとなりました。具体的にいえば、EIP-1559はイーサリアムのネーティブアセット(イーサ)にデフレ圧力を加えることによって、イーサの経済性に変化をもたらします。このような影響も実際にありますが、EIP-1559の本当の動機は主に次のようなものと言えます:

  • ガス代の予測可能性を高めることでイーサリアムのユーザーエクスペリエンスを向上させる

  • ロールアップやその他のレイヤー2スケーリングソリューションへの道をひらく(より予測可能なガス代を通じて)

  • DOS攻撃をより高価にすることでセキュリティを向上させる

  • 短期的なチェーンリオーグを抑制する

技術的な詳細については、イーサリアム開発者のダニー・ライアン(Danny Ryan)とジョシュ・スターク(Josh Stark)による記事をご参照ください。基本的には、EIP-1559とその影響を理解するには、ユーザーエクスペリエンス(UX)の変更に関する要約部分で十分でしょう。

簡素化された手数料 市場

EIP-1559より前は、イーサリアムトランザクションを送信するには、次のブロックに含めるために支払う金額に基づいて入札を設定していました。入札額を十分に高く設定しておかないと、マイナーはより高い入札額を優先してしまい、長い時間待たされることになります。本当に急いでいる場合、必要以上に高く入札してしまうこともよくありました。

EIP-1559はこの「価格優先オークション」を廃止し、固定価格販売を採用しました。トランザクションを処理するために支払う必要のある価格を推測する代わりに、単純に基本料金と呼ばれる価格を提示するだけです。この料金は、ブロックに対する現在の需要に基づいて、すべてのユーザーに対して同じであり、ユーザーが推測する必要がほとんどありません。トランザクションを優先したい場合は、現在の手数料市場と同様の「優先手数料」を追加することができます。

ここに経済的な影響が表れることになりますが、基本料金がマイナーに行く代わりに、この料金は焼却されます。これは必要に応じて行われるもので、フルブロック数によって測定されるブロックスペースの需要が高まると、基本料金が上昇します。もし基本料金がマイナーに行くと、彼らはより多くの利益を確保するために、さらに高い基本料金を出庫しようとして自分のブロックにスパムを仕掛けるでしょう。この誘惑を取り除くために、基本料金は焼却されるのです。

つまり、このアップグレードはイーサリアムユーザーにとっては喜ばしいものですが、マイナーにとってはそうでもなく、アップグレードによって収益の20–35%の減少が見込まれるという見積もりもあります。

イーサの価格について、考えられる影響

イーサはブロックごとに焼却されるため、新しいイーサが循環する全体的な割合が低いだけでなく、正味がマイナスになる可能性が非常に高くなります。実際、EIP-1559が稼働してから数日で、発行されたよりも多くのイーサが焼却されました。このような現象が必ず起こるわけではありませんが、イーサリアムブロックスペースの需要が高い限り、この状況は続く可能性があります。

それゆえ、EIP-1559は、発行が削減される(あるいはこの場合おそらく正味マイナスの)ビットコインに似ていると考えられます。これにより、イーサは価値を保管する「ウルトラサウンドマネー」としてより魅力的になるのではないかと推測する声もあります。別の角度から見ると、これまで(正味の新しいイーサの形で)マイナーに与えられていた収益が、デフレによってイーサ所有者に分配されるようになったと言えます。

重要なのは、これが未知の領域であるということです。イーサの貨幣資産としてのイーサに長期的に作用するでしょうか。未来は不確実ですが、初期の兆候は、EIP-1559が少なくともその(非経済的な)目標の達成に向かっていることを示しています。

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